
親子で育む、お片付け習慣!
こどもアイテムが片付くアイデア

すっきり暮らしたいけれど、忙しくて片付けられない。片付けたそばから、また散らかっていく。収納方法を真似してもうまくいかない。そんなお悩みはありませんか?
親も子も楽しく片付けをするためのコツを、おすすめの収納アイデアとともに、整理収納アドバイザーの佐藤加奈子さんにお聞きしました。
▼この記事で紹介する収納アイデア
<アイデア1>「こどもが自分でわかる」ラベリング
<アイデア2>アウターは「引っかけ」がポイント
<アイデア3>外出グッズは玄関で「ひとまとめ」に
<アイデア4>収納ボックスは「軽く柔らかな素材」に

佐藤加奈子(さとう・かなこ)
神奈川県横浜市在住。
整理収納アドバイザー/リセッターリスト®︎アドバイザー。「暮らしの半径3mを豊かにしよう」をテーマに、「クラシラボHOME」を主宰。横浜市を中心に、個人向けの整理収納サポートやレッスン、市区町村での整理収納講座、小学生向けの片付けレッスンなどを通じて、「家族みんなが片付けやすい仕組みづくり」を伝えている。
散らかっていても、戻す場所があれば大丈夫
「お片付け」と聞いて、どんなイメージを持ちますか? こども時代はどうでしたか? 気が進まないけれど、親に怒られるからイヤイヤ片付ける……そんなマイナスのイメージを持っていないでしょうか。そもそも片付けとは、次の行動がスムーズになる環境を用意しておくこと。自分にも家族にも、メリットばかりです。
「いつも部屋が散らかっていて……」と悩むご家庭はとても多いです。おもちゃに絵本、いつの間にか増えてしまうお菓子のオマケ、園や学校のお便り、学用品。でも、いつも片付いている必要はないと思います。
それよりも大切なのは、それらの戻る場所があること。片付く「仕組み」が出来上がると、どんなに散らかっていても「もとの場所に戻すだけで片付くから大丈夫」という安心感が生まれます。片付いていない状態で見通しが立っていない「先が見えない状態」が一番つらいですよね? それに場所が決まっていれば、こどもが自分でお片付けできる力が育ちます。
大人が判断しなくてはいけないお便りについては、時間がない時は「とりあえず取っておこう」となりがちですが、「緊急」と「重要」だけでも他のプリントと分けておくだけで、あとで断然取り掛かりやすくなりますよ。
明るくポジティブな声かけで
お片付けが「楽しく、心地いい」ものに
小さいうちから、お片付けが楽しいものだと感じてもらえるよう、明るい空気で声をかけることもぜひ試していただきたいです。
競争が好きな子なら、「お茶碗洗いする間に、ブロック全部片付けられるかな? よーい、ドン!」 タイマーで3分、5分と区切るのも盛り上がりますし、運動会の徒競走のような音楽をかけるのもおすすめです。スマートスピーカーを使って、「○○の曲をかけて!」「◯分タイマー!」などと声をかけてもらうのも、親が感情的にならず楽しくできると思います。
おもちゃが全部片付いたら「わ〜リビングが広くなったね〜。気持ちいいねぇ」と、親がこどもを抱っこしながらゴロゴロ転がったり、「すぐ見つかるし取り出しやすい!」と喜んであげられるといいですね。「お片付け=面倒なこと、嫌なこと」ではなく、「気持ちがいいこと」「次遊びたい時、すぐ遊ぶために必要なこと」「お家の人のお手伝いにも繋がること」というのをたくさん感じてもらえたらと思います。
<アイデア1>
「こどもが自分でわかる」ラベリング

おもちゃを写真に撮ってラベルに。ここではL版サイズにプリントし、市販のクリアフォトケースに入れました。こども自身に絵を書いてもらうと、より「自分ごと」になるため、きちんと戻そうという気持ちも高まります。

ラベルをクリップなどで収納ボックスに留めます。ラベリングがあると、しまう場所が一目瞭然! 遊ぶおもちゃが変わったら写真やイラストを入れ替えましょう。
片付けの仕組みは、
一度でうまくいかなくて当然
片付けの工夫は世の中にたくさんあふれていますが、忘れてはいけないのは「こどもと一緒に決めること」です。お片付けが得意な人ほど、自分でしっかり場所を決め、仕組みを整えてしまいがち。これでは家族がついてこれなかった時に、「どうしてみんな決めた場所に戻してくれないの!?」とイライラする原因にもなりかねません。
「どこに置いたら便利かな?」「どこだったら迷わずしまえる?」と、家族みんなで考えてみませんか。自分で決めた場所なら、こどもも自分ごととして習慣化しやすくなります。
また、一度決めた場所で、うまくいかなくても「せっかく決めたのに!」と落ち込んだり、その方法にこだわらないで大丈夫。むしろ、一度でうまくいくほうが珍しいものです。「ここでうまくいかなかったから、じゃあどこがいいのかな」と、あらためて一緒に考え直してみましょう。難しい場合は、大人が2択にして選んでもらってもいいですね。
例えばリビングにアウター用のフックをつけたのに、どうしても玄関で脱いで放置してしまうなら、フックの場所を玄関に動かします。フックそのものが扱いづらいのであれば、バスケットに「入れる」に変えるとうまくいくこともあります。こどもが何にハードルを感じているのか、どの程度なら面倒に感じずできるのかを観察しながら、一度決めたルールにこだわらず試行錯誤してみてくださいね。
<アイデア2>
アウターは「引っかけ」がポイント

保育園や幼稚園と同じように、アウターはフックに「引っかけるだけ」に。100円ショップやホームセンターなどで、粘着タイプの貼ったり剥がしたりができるフックも揃っています。「どこにあったら便利かな?」とこどもと一緒に考えながら、フックの場所を決めてくださいね。アウターには少々手間でも、こどもが引っ掛けやすい長さのループを最初につけてあげると、自分で片付ける習慣が身に付きやすいです。
<アイデア3>
外出グッズは玄関で「ひとまとめ」に

帽子やマフラー、手袋、ハンカチなどの外出グッズは、玄関にひとまとめ。丁寧に整理されていなくても、かごにざっくりまとめるだけで大丈夫です。こどもとのお出かけは、とにかくバタバタと気持ちが焦りがち。玄関にまとめておくと、スムーズに出発できて親も気持ちにゆとりが生まれます。
毎日必要なランチグッズやハンカチ、ティッシュなどの身じたく・通園グッズも、同様に一カ所にまとめましょう。こちらはリビングやダイニングなど、準備をしやすい場所に。忘れ物をしないためだけでなく、一つの枠内に収めることでこどもが持ち物を把握しやすく、自分で準備をする習慣に。「今日はどのハンカチにしようかな」と自分で選ぶ楽しみも生まれます。
自分でできるように、「こどもが届く高さ」にまとめてあげることが大事です。
おかたづけは、大切なものを
自分の手で選び取っていく練習です
新しいおもちゃを買ったら、しまう場所が必要ですよね。そうすると何かを手放して、新しいスペースを作らねばなりません。しかし「捨てる」というのは、実は大人にとっても難しい作業。「片付け=大切なものを捨てること」、と思うと、後回しにしたくなるのも当然です。
そんな時は、「どれを残したい?」と、声をかけてみてください。「おもちゃを全部しまいたいけれど、スペースはこれだけしかないね。どうしたらいいかな?」と、こども自身に考えてもらうのです。
直近で新しく買ったものがあり、最近遊ばなくなったおもちゃが多くなってきたな……と思ったら、いいタイミングです。ちなみに、この判断が一人でできる年齢の目安は、大体10歳前後からと言われています。とはいえ、こどもによって判断できるようになるまでには差があるので、大人も長い目で見て、成長に合わせて対応できるといいですね。繰り返すことによって判断できる力がついてきます。
ここで気をつけたいのは、こどもが考えて選んだものを、大人は否定せず受け入れることです。高価なおもちゃ、つい先日ねだられて買ったばかりのものなど、大人の都合では「えっ!」と感じるものを手放そうとするかもしれません。そういう場合は、そっとこどもの目につかない場所にしまい、様子を見てみましょう。日を置いて取り出すと、また新鮮な気持ちで遊び出すこともあります。
<アイデア4>
収納ボックスは「軽く柔らかな素材」に

赤ちゃん〜未就学児のアイテムを収納する時は、落としても痛くない柔らか素材に。軽く、おもちゃを入れてもこどもが自分で運べるものだと安心です。布製のほか、最近はプラスチック製でも柔らかいものが見つかります。
大切なのは、その子の気持ちを優先し、片付けを自分ごとにしてもらうことです。
何を残していくかを考えることは、何と一緒に暮らしていくかを選ぶことだと思います。
お片付けで育んだ「自分で選ぶ」という力が、きっとこの先の人生でも役立っていくと信じています。