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こどもも、大人も、一緒に学ぼう!
「お金」との付き合い方

「こどものうちからお金の使い方を学ばせたいけど、何に気をつければいいの?」とお悩みのママ・パパも多いのではないでしょうか? 日本銀行での勤務を経て、現在は横浜銀行の金融教育のプロフェッショナルとして活動する橋本長明さんに聞きました。

profile

横浜銀行 プロフェッショナル・橋本長明(はしもとながあき)さん

大学卒業後、日本銀行に入行。情報サービス局、金融広報中央委員会事務局、調査統計局などに10年在籍し退職。日銀では、学校教育における金融教育の概念作りや「金融教育元年」事業に注力したほか、ブランディング、広報、景気分析などに従事。その後、横浜銀行で、金融教育とブランディングのプロフェッショナルとして双方に注力。個人でも金融教育ディレクターとして活動し、各種メディアにも出演。著書に『すてきな相棒! おかね入門』(リトルモア刊)がある。

とても便利なキャッシュレス! でも、こんなリスクも。

キャッシュレス決済が普及してから、お財布を持たずに出かけたり、会計の時間が短縮されたりして、私たちの生活はとても便利になりました。でもその反面、気をつけたいことも多いんです。最近、保護者の方から聞いたエピソードで驚いたのが、こどもがレジでお会計をせず、キャッシュレス決済の音声を真似して通り過ぎようとして、危うく万引き犯になりかけた……というお話。現金のやり取りを見る機会が少なくなったことにより、お金という存在を「実体のないもの」として捉えてしまっているケースも少なくないようです。

小学生になると、お小遣い制度をスタートさせるご家庭も多いと思いますが、最初のうちは現金でお小遣いをあげるのがおすすめ。現金だと、財布や貯金箱の中身を見て買い物をするので、残額への意識が高まります。そして、受け取ったら「ありがとう」と言う習慣をつけてもらう。こうすることで、簡単に手に入るものではなく、親御さんが働いて得た対価なんだ、とちゃんと理解させることにつながります。

お小遣い帳で見える化! 体験を通じて学ぶお金の使い方

お金の使い方は「消費」「投資」「浪費」の三つに分類でき、「浪費」は無駄遣いにあたるものですね。浪費を減らすためには、買い物の時に毎回「必要なもの(ニーズ)なのか、欲しいもの(ウォンツ)なのか」自問自答する癖をつけるとよいでしょう。

こどもの中には「使うこと自体が悪」だと思い込み、必要なものであっても、買うことを我慢しているケースも多いようです。でも、お金とうまく付き合っていくためには、使わなさすぎることも問題。お金は「便利な道具」として、適切に使うべきなんです。単に「無駄遣いはダメ!」と伝えるのではなく、ニーズとウォンツの違いなどを論理的に説明してあげると、こどもたちもちゃんと理解してくれます。

また、お金の流れはしっかり記録して、見える化することが大事です。なので、自分のお金が増えた・減ったことが見える化できるお小遣い帳をおすすめしています。

橋本さんが開発した、横浜銀行オリジナルの「おこづかいちょう」
浪費が見える化できるお小遣い帳は、大人にもおすすめ!

そして、単なる消費だけでなく、エシカル消費やフェアトレードなど、社会や環境に配慮したすてきなお金の使い方もありますよね。また、「おいしかった野菜をリピート購入する」などで感謝の気持ちを表すこともできます。

横浜でも、都市型農園や農体験の機会創出といった取り組みが広がっていると聞いています。マルシェや朝市などの直売所は、絶好のチャンス。自分の払ったお金が農家の売り上げとなり、また農作物が作られる……そんな仕組みを想像しながら、地元の地産地消への理解も深めつつ、お金の使い方を体験することができます。

地産地消や農体験については、下記のミニコラムで詳しく紹介しています。あわせて読んでみてくださいね

少額でもどんどん膨らむ!? 「ファスト借金」に要注意。

さらにもう一つ、気をつけておきたいことがあります。「BNPL」という言葉を聞いたことはありますか? 「Buy Now, Pay Later(今買って、後で支払う)」の頭文字を取った言葉ですが、従来の後払い決済とは少し異なり、少額から、しかも手数料無料で分割払いが可能なサービスです。そのため、見えにくい借金を生み出す可能性があり、安易な利用が問題視されています。いわば「ファスト借金」。実店舗よりもネットショップでの導入が多いこともあり、軽い気持ちで限度額までの利用を重ねてしまい、借金がどんどん膨らむこともあるようです。

将来、そうならないためにも、家庭や学校での金融教育が大切です。まずは基本的なことから、こどものうちにしっかりと金銭感覚・金銭管理を身に付けていきましょう。

ここまで、いつもの生活の中での「お金の使い方」についてお話を伺ってきました。そして最後に、こどもたちにとっては少し先の未来の話となりますが、「働くこと」についても、こんなお話をいただきました!

お金を学ぶと見えてくる、「働くこと」「生きること」

お金は働いた対価として得るものですが、働くことは「お金のため」だけではありません。生きがいは、「好きなこと」「得意なこと」「社会から必要とされること」「お金が貰えること」の4つの要素の中心にあるという考え方がありますが、私自身も好きなことが仕事に結びつき、今も楽しく仕事ができています。

お金を稼ぐことも大切ですが、働くにはお金のためだけではなく、他の視点も大切。大金持ちがヒエラルキーのてっぺんではないのです。お金はあくまでも「便利な道具」として、「何のために稼ぐのか、使うのか」をじっくり考えてみましょう。

こどもの頃のことを思い出して、「お金のこと、こんなにちゃんと学んでこなかった!」と心配になる方も多いかもしれません。でも、先述したような基本的なことを、自分事として、そして伝道師として、学んでいけば大丈夫。理屈があれば、親御さんも説明しやすくなると思います。

お金は、私たちの「すてきな相棒」であることを心に留めて、お子さんと一緒に楽しく学んでみてくださいね!

橋本さんが作った「はまぎん おかねの教室ウェブサイト」の動画では、お金の価値観や使い方、働く意義などの基本的なことについて、こどもから大人まで楽しく学べます。ぜひ、あわせてご覧ください!

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